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それは1ブロック1都道府県であっても、完成後は周辺市町村の地域おこしに対する関心へ大きな影響を与えるのである。熊本県立劇場の「こころコンサート」が、北九州市や埼玉県に及び、日常塾が福岡県甘木市や青森県に飛び火的効果をもたらしているのをみてもわかる。
文化・芸術で過疎の市町村を活性化させる際に必要なのは、市町村民にやる気を起させる情熱が、民間から湧き上ってくれば最高の条件となるが、きっかけは自治体が住民の中に直接入って作り上げてもよいのである。
いずれにしても、地域づくりはまず人づくりなのである。熊本県立劇場がまず村のため町のために力を尽くそうとする人を、年齢、性別、地位、肩書き、階層、職業等の一切に関係なく、市町村内で3人を探し、説得することを行い、共感を得てから事業に取りかかって成功している例がそれである。この人が見つからなければ、必ず失敗するか、無為に長時間をかけてしまう事実も体験している。
こうした意識づくりのためには、住民も自治体も、あるいは文化会館や文化団体も、それぞれが自分の領域の中に閉鎖的に閉じこもっていてはならない。
文化を巾広く考え、例えば、いま世界的関心の第一は環境問題であるが、川が文明や文化を生んでいるのは、自分達のふるさとを流れている川を見ても、歴史的に理解出来るのである。
これを環境問題だけにとらわれて、空きカン拾いでの川を守る討論会だけに終らせてしまうと、あまり効果のない一過性のイベントに終ってしまい、討論会場には人は来ない。
こうした機会をとらえて、制作材料を文化会館や文化団体に作らせ、衰亡していく伝承芸能を努力して復元したり、若い人達が結成している音楽グループを登場させ、あわせて住民あるいは流域全市町村の住民や首長が登場する討論会を開けば、芸能が人を呼び、討論で現状を知ることの中から、住民の一体感が徐々に培われていくのである。
日本人にはふるさとへの情感は自然の美しさによって心の奥深くに醸成されているのだが、歴史的な長い歳月にわたる封建制度のために市民社会が造られず、「わが町意識」が甚だしく不足しているのである。
大都市の地域おこしが経済開発や発展に比重が大きくかかるのとは異り、過疎市町村の地域おこしは、ふるさとの心を喚び起すことと、わが町意識を高めて、精神的な連帯性を強化する2点に、あくまでも視点を置かなくてはならない。
こうして作られたふるさとへの誇りが、その後の維持につながり、資金の調達にも効果をもたらしていくのである。
その事実は委員の調査結果でも、調査会のデータでも証明されている。
これがわが町の誇りなのだという理念があれば、村も町も結束する可能性を、またどこ
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